競売までの流れ news
競売は、住宅ローンの返済が滞った際に、金融機関が債権を回収するために行う法的手続きの一つです。住宅ローンの返済が困難になると、最終的には物件が競売にかけられ、強制的に売却されることがあります。競売までには、いくつかの段階と手続きがあり、それらは裁判所を通じて進められます。ここでは、住宅ローンの返済が滞り、競売に至るまでの具体的な流れについて詳しく解説します。
1. 住宅ローン返済の滞納
競売に至る最初のステップは、住宅ローンの返済が滞ることです。通常、返済が1回滞っただけでは競売手続きがすぐに始まるわけではありませんが、滞納が数ヶ月続くと、金融機関は借り手に対して督促を行い、競売手続きを視野に入れるようになります。
(1) 返済の遅延・督促
住宅ローンの返済が滞ると、まず金融機関から返済を促す通知が届きます。この通知は、返済を滞納したことを告げ、早急な対応を求める内容です。通常、この段階ではまだ競売には至りませんが、督促が無視されたり、返済が再開されなかったりすると、次のステップに進むことになります。
(2) 期限の利益喪失通知
借り手が住宅ローン契約を結ぶ際、「期限の利益」と呼ばれる条件があります。これは、定期的な返済を続けることで借り手がローンを長期間にわたって返済する権利を得るというものです。しかし、返済が一定期間滞ると、この「期限の利益」を喪失し、残りの全額を一括で返済するよう金融機関から要求されることがあります。この通知が「期限の利益喪失通知」であり、これが発行されると借り手はローン全額を返済しない限り、競売手続きが進行するリスクが高まります。
2. 代位弁済と保証会社の役割
住宅ローンの多くには、保証会社がついています。保証会社は、借り手が返済できなくなった場合に代わりに金融機関へローン残高を支払う機関です。この代位弁済が行われると、今度は保証会社が借り手に対して返済を求める形になります。代位弁済が行われた後も、借り手が返済できない場合、保証会社は競売を申し立てる権利を持つようになります。
(1) 代位弁済の流れ
- 借り手の返済が滞る 借り手が返済を続けられない場合、一定期間(一般的には3〜6ヶ月)が経過すると、金融機関は保証会社に対して代位弁済を請求します。
- 保証会社が返済を代行 保証会社が金融機関に対して借り手のローン残高を全額返済します。この時点で、借り手の返済義務は金融機関から保証会社に移行します。
- 保証会社による督促 保証会社が借り手に対して、返済の督促を行います。この段階でも借り手が対応しない場合、保証会社は競売を申し立てる準備に入ります。
3. 競売手続きの開始
借り手が期限の利益を喪失し、代位弁済後も返済が行われない場合、最終的に競売手続きが始まります。競売は、金融機関や保証会社が裁判所に申し立てを行うことで開始され、裁判所は手続きを進めるために必要な準備を整えます。
(1) 競売の申し立て
競売を進めるために、金融機関または保証会社が裁判所に対して競売の申し立てを行います。申し立てが受理されると、裁判所は物件の競売手続きに関する通知を借り手に送付します。この時点で、借り手には物件の競売が開始される旨が正式に告知され、通常は期限内に対策を講じるか、競売手続きに従う必要が出てきます。
(2) 競売物件の査定
競売が進行すると、裁判所は物件の査定を行います。この査定は、物件の市場価格を基に競売開始価格を設定するために行われます。査定人が物件の現状や周辺の市場状況を調査し、物件の評価額が決定されますが、通常は市場価格よりも低めに設定されることが多いです。
(3) 入札の準備
物件の査定が完了すると、裁判所は競売に関する詳細を公開し、入札者を募ります。これには、物件の価格や所在地、入札のスケジュールが含まれ、誰でも参加できる公開入札が行われます。競売物件は通常、市場価格よりも安く購入できるため、投資家や個人購入者が集まることが多いです。
4. 競売の進行
競売のプロセスが進むと、いよいよ物件の入札が開始されます。公開入札では、複数の入札者が競り合い、最も高い価格を提示した者が物件を落札します。
(1) 公開入札の実施
競売では、入札者が裁判所に集まり、物件に対して入札を行います。入札は公開形式で行われ、最も高い価格を提示した者がその物件を取得することになります。この際、競売開始価格は物件の査定価格に基づいて設定されますが、市場価格よりも低いことが多いため、実際の落札価格も比較的安価になることが一般的です。
(2) 落札後の手続き
物件が落札されると、落札者は落札価格を支払い、物件の所有権を取得します。この代金は金融機関や保証会社に渡され、借り手の債務の返済に充てられます。しかし、落札価格がローン残高を上回ることは稀であり、多くの場合、借り手には残債務が残ることがあります。
5. 競売後の影響
競売が終了すると、借り手は物件を退去し、残債務の処理が問題となります。また、競売が借り手に与える影響は、経済面だけでなく、信用情報や生活面にも及びます。
(1) 残債務の処理
競売によって物件が売却されても、その売却価格がローン残高を上回ることは少なく、借り手には「残債務」が残る場合があります。この残債務は、競売後も返済義務が残るため、借り手は引き続き支払いを求められることがあります。金融機関や保証会社と協議し、分割返済や一部免除を交渉することもありますが、返済義務が完全に消えるわけではないことを理解する必要があります。
(2) 信用情報への影響
競売にかけられた事実は、信用情報機関に登録され、借り手の信用情報に大きな悪影響を与えます。これにより、今後数年間は新たなローンやクレジットカードの発行が困難になる可能性が高まります。また、信用情報の回復には通常、5〜7年の期間が必要です。
(3) 生活への影響
競売によって物件を失った場合、借り手は強制的に退去し、新たな住居を探さなければなりません。家族や生活の安定に大きな影響を与えるため、競売に至る前にできるだけ早く対策を講じることが重要です。
6. まとめ
競売に至るまでのプロセスは、住宅ローンの滞納から始まり、金融機関や保証会社とのやり取りを経て、最終的に裁判所を通じて進行します。競売は迅速に進行しますが、借り手にとっては大きな経済的負担や信用情報への悪影響が伴います。そのため、競売に至る前に任意売却や金融機関との交渉を行うことで、リスクを最小限に抑えることが求められます。
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